Suminoe Sounds

Suminoe Soundsとの出会い / Roland & ACE TONE


大阪市住之江区には、かつて音楽業界において有名だった楽器メーカーが2社存在していました。1つは現在でも世界的に有名なローランド(Roland) で、日本初のシンセサイザーやMIDI規格を始めとした楽器技術など、1972年の創業以来個性的な電子音楽製品が多く作られています。そのローランドは 海外のメーカーと間違えられることもしばしばあったそうなんですが、実は大阪の住之江で創業していたことをご存知でしょうか?それともう1つ、住之江に存 在していた楽器メーカーがあったことはあまり知られていないかもしれません。ローランド以前から60年代〜70年代に一世を風靡したACE TONE(エーストーン)ブランドを手掛けていた、エース電子工業(後の日本ハモンド)です。60年代に住之江で生まれたエーストーンは電子オルガンを日 本で初めて開発した会社で、アメリカのオルガンメーカーHAMMONDと業務提携し海外取引も行っていました。その後はFUZZ MASTER(ファズマスター)などの歪み系エフェクターを日本で初めて製品化したり、Rhythm Ace(リズムエース)という世界初の自動リズムマシンを開発したことも有名でした。今は2社とも住之江から撤退し浜松を始め海外などに移転してしまいま したが、ロックンロールの創成期から先進的な楽器を次々と送り出し、音楽演奏における既存概念を度々塗り替えてきたとされるローランドとエーストーンの音 響技術は今でも様々な形で受け継がれています。

ちなみに私も80年前後に大阪市住之江区で生まれまして、実は幼少時ローランドと日本ハモンド両社のあった場所からすぐ近所の 団地に住んでいたんです。2社の存在は4歳の頃には既に知っていて、オルガンなどを作っている会社だと聞かされていましたが製品に関する知識は正直全く知 らなかったですね。私が電子楽器に興味を示し始めたのは高校生の頃からで、その頃なぜかローランドなど住之江ブランドの製品と出会う機会はなく、すでに私 の家が住之江を離れていたこともあり地元企業である愛着は感じられず、無意識に遠ざかっていたのかもしれません。製造メーカーに対するこだわりを全く持っ ていなかったため他社製品に手を出すことはしばしばありましたが、その間音質や使い勝手が悪い機種に当たることがとにかく多かったのを覚えています。そう しているうちに電子楽器は無駄に金のかかる趣味と考えるようになり、いつの間にか楽器類には一切手を出さなくなってしまいました。時が経ち、20代を過ぎ た頃から趣味でエレキギターを積極的に弾くようになっていた私は、2004年4月、ふとオークションでボスのコンパクトペダル『DS-1 Distortion』を落札したんです。商品を受け取り取扱説明書を見たら、そこには当時の本社所在地『大阪市住之江区新北島…』の記載を見つけたんで す。それは何を隠そう私の生家のすぐ近所であり、このコンパクトペダルとの出会いが全てのターニングポイントとなった訳でした。

そして私は、かつてローランド・エーストーン(日本ハモンド)から発表されていた製品群の詳細を徹底的に知りたくなりました。今や音楽 業界で世界的に熱狂的ファンが存在するローランドが、元々は住之江で創業した事実すら忘れかけていました。けれども現代にも未来においても愛され続ける先 進的音楽製品群の原点が作られた住之江の空気には、探りを入れればきっと何か秘密があるに違いないと私は確信したんです。そして60年代から80年代にか けて住之江で開発・製造されていた電子楽器の実機を集めつつ、それらの機材が生まれた背景や空気感を知るために独自調査を始めました。60年代〜80年代 の音楽業界において、住之江発の音楽機材が業界内でどのように受け止められていたのかも気になり始めました。 私はローランド・エーストーン(日本ハモンド)製電子楽器やそれらを大々的に用いた音楽や取り巻く文化を独自に『住之江系』として定義し、地域発音楽ジャ ンルの具体化の可能性も視野に入れて日々動いています。当サイトではかつての60年代〜80年代に製造されたローランド・エーストーン製アナログ電子楽器 製品を『住之江系楽器・機材』と称して特別に分類し、現代の感覚で楽曲に取り入れながら大阪湾岸発の音楽として『住之江系サウンドスタイル』をじっくりと 追求していきます。ローランド・エーストーンの楽器・機材を接続し奏でる音は住之江系サウンドの楽曲制作・演奏における基礎になると考えているので、可能 な限り当時の楽器から発する原音を大事にしつつ積極的に取り入れるべきと考えています。ただこの場では必ずしも演奏時の機材は住之江製でなきゃいけないと いう制約を設ける気はありませんし、似たような音響効果を用いた他社製機種やサンプリング音でも取り入れられるような柔軟な枠組みにした方がジャンルの拡 大には効果的でしょう。

実はこう見えても私は地元や故郷に良い想い出がなくそれほど好きではないんですが、この調査を進めていくことで私自身の故郷や原点を見 直し誰も触れられていない魅力を再発見する機会となるなら歓迎したいと考えています。Suminoe Soundsでは今後ジャンル定義の展開につれて、Demo Tracksに公開する私の自作曲とも連動して話題を進めていきたいですね。そして私以外にも過去から現在に住之江系を大々的に押し出して活動する音楽家 が居るのなら個人的にはそのような人達の活動も触れてみることも検討中です。Suminoe Soundsでは住之江系楽器・機材だけでなく、住之江・住吉とその周辺にまつわる話題を詠み込んだ音楽や歌などの作品を始めとした文化全般に関しても順 次関連性を見極めて取り上げていきます。万葉集の時代から住吉にまつわる歌が数多く詠まれていたことから、過去千数百年前に遡って住之江・住吉の空気感に 想いを馳せるのにも大いに関心があります。このページにおいては音楽的話題と地域的話題との結びつきを何よりも重要視していきたいですし、話題を追ってい くにつれて音楽とは無縁の話題をどうにか結びつけて違う角度から取り上げてみるのも面白いかもしれません。エース電子創業の60年代当時から住之江系に替 わる住之江や大阪にちなんだ楽器・機材の分類名称があったのかどうかは存じていませんが、今後の展開により柔軟に対応していきたいですね。過去の内容に関 しては独自の調査に基づくものですが、これを読んでいる人でもし事実と違っていたりお気づきの点がありましたら、その際はひろふみ宛にご一報頂けると幸い です。


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