Forest

Strawberry Dreaming

この話は、2001年6月頃にひろふみが実際に見た夢をもとに書いた話です。
あまりに気になる夢だったので、夢から覚めたその後の話題と共に記録してみました。私は当時こことは別のサイトを1ヶ所管理していたことがありまして、そ のサイト上に掲載したものをこの場に転載したものです。


1: 夢の話

その時俺は沖縄のような南国に居た。

この日はある目的のためにその場所へ来たのだった。
俺は空港からフェンス沿いに続いてく外周道路をしばらく歩く。
そうしたら道路沿いに一件の小さなスーパーらしき店があって、
どうやら俺はその小さな店に行くことが今回の目的のようだ。

この店には、噂によると日本?(国は不明)で一番美味しいらしい、
『いちごジャム食パン』なるものが売ってある。
このパンはすっごく甘くて忘れられない味って聞いてて、
一度それをどうしても食べたくなったためにわざわざ飛行機を乗り継いで来たみたい。
店内に入ると客はまばらで、ラジオからうっすらと音楽が流れている。
一目見ただけでは本当にここが噂のあの店なのか信じがたいような店だった。
でもパンはちゃんと棚に並んであるし、とりあえず目の前の店員に聞いてみることにした。
「いちごジャム食パンって置いてますか?」
すると店員は、大きな真四角の食パンを取り出した。
食パンはスライスされないままの形で売られていて、
たった1斤でビニール袋が満杯になるくらいの大きさだった。
俺は「2斤ください。」と頼むと、
店員は2斤のいちごジャム食パンを一つずつ、白いビニール袋に入れてくれた。
そして俺は2つの大きな袋を両手に店を後にした。


店を出て歩き始めたんだけど、ふと今すぐにでもこの食パンを口にしたいと思った。
俺は店の道路を挟んだ向かいにある緑の広場で座って少し食べることにした。
早速ビニール袋から食パンを軽く取り出し、欠片をちぎって口の中へ入れた。

…ん?何だろこの味は?
簡単に例えてみると、焼き過ぎたパンにいちごジャムを塗って無理矢理食べたような味。
「これが本当にいちごジャム食パンなのかぁ〜?」
こんな変な味のためにわざわざここまで来たのかと思うと、やはり納得がいかない。

しばらくパンのことで考え事をしてると、俺が座っているすぐ横に若い男女が2〜3人居るのに気付く。
会話を聞いてると彼らはどうやら地元の人達らしく、
いちごジャム食パンのことがどうしても知りたくて声をかけた。
そのうちの一人の女が言った。
「いちごジャム食パン、ウチらも大好き〜!でもこのままで食べるもんじゃないよぉ。
これはトースターで焼いてみて食べると美味しいんだぞ♪」
別の男は、
「焼いてみるとパンの中からじゅるじゅるじゅる〜っといちごジャムが染み出てきて、
と〜っても甘ぁい香りでいっぱいになるから、アンタもやってみなよ。」
そういう食べ方なんだと俺は初めて知った。これでようやく納得した様子だった。
「いいこと聞かせてもらいましたよ。ありがとう。家に帰ったらすぐ焼いて食べてみますね。」
そろそろ夕方だったんで、彼らに空港まで車で送ってもらうことにした。

今日はこの場所まで来てよかったと思った。
俺は食パンの白い大きな袋2つ抱えただけで飛行機に乗るのが少し恥ずかしかったけど…
だって観光客なのに、見た目は近所のスーパーに買い物行ってるのと一緒なのは何故!?


2: 目覚めた朝

…俺は深い夢から目が覚めた。




「それにしてもこんな美味しそうな夢を見るのは珍しい…。
『いちごジャム食パン』??
食パンにいちごジャムを塗っただけ…じゃないんだよね。
パンの中から染み出るなんて、こんなの実際ある訳ないと思うけど、
一体どんな食べ物なんだろう?」


最近夢を見ることすら遠ざかっていた俺だったが、
この時は昨夜の夢の内容があまりの鮮明さだったらしく、
目覚めてしばらくはベッドの上で考え込んでいた。

俺はベットから立ち上がり、眠気を残したまま台所へと向かい、
黄緑色の冷蔵庫のドアを開ける。
ミルクを取り出し、たっぷりとグラスに注ぐ。
グラスを手にミルクを一口した僕は、食パンの一切れをトースターに載せる。
この時俺の頭の中はもちろんいちごジャムのことで一杯だった。
とにかく何よりも真っ赤ないちごジャムが塗られた食パンを口にしたかった。
そしてジャムを取り出すために再び黄緑色の冷蔵庫を開ける。




しかし扉を開けた瞬間、俺は納得いかない気持ちになった。

冷蔵庫の中を覗き込んだが、いちごジャムの瓶は見当たらない。
その代わりに、目の前には、




ブルーベリージャムがあった。

俺が今食べたいのはいちごジャムの塗られた食パンなのに…
ブルーベリージャムが塗られたパンの表面はもちろん青紫色。
味は決して悪くない。でも何か違う。
あの鮮やかな赤い色は何だったんだろう…


俺はその時、気分だけでも夢の中のパンを味わってみたかったのだった。
この日は一日中悔しい気持ちだった。



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